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9-2-1.完全コピープロジェクト、作品例(細谷)

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完全コピープロジェクトを実施した、学生の作品を3つ紹介します。
まず始めに、このステップ(完全コピープロジェクト)を発案するきっかけとなった卒制を紹介しましょう。


1.細谷麻衣子さん(2006年度)
卒制テーマ:tabemono + present = product

細谷さんの卒制のテーマは、「みんなに喜んでもらえるプレゼントを作りたい」というところからスタートして、前人未到の食品のデザインにたどり着きました。
ちなみに、細谷さんは夢の箱の段階では「化粧品が好き、プレゼントとケーキが好き。だから、夢の箱は贈り物ととらえて、みんなに喜んでもらいたい気持ちを表現しました」と語っていました。
ここから「誰もが喜ぶプレゼントは食べ物ではないか」という風にテーマを整理して、最終的に「食品ギフトをデザインする」という卒制を完成させました。
「角砂糖があるのに角コーヒーというものはありません。角コーヒーを発明して、贈り物にしたら画期的なのでは?」と考えた細谷さんは、コーヒーの粉を立方体に仕上げるべく、フリーズドライ食品を作ろうと考えました。


しかし、「美大生が卒制で食品を扱うのは難しいのではないか」と周囲の誰もが思いました。世の中にはあまたのフリーズドライ食品がありますが、一体、美大生が食の加工技術に挑めるものなのでしょうか。しかし、彼女は類まれなる行動力を発揮して、自分が卒業した高校に真空凍結乾燥機があることを突き止めて、実験を開始したのです。「角砂糖のように角コーヒーを作る」作業は、材料の組成を変換して、新たなデザインに挑む作業でした。

食品の真空凍結実験

コーヒー液を分解し、組成を圧縮して冷凍で成型する作業は、真似という粋を超えて実に困難を極めました。しかし試行錯誤を重ねた結果、ついに最終講評会の直前に作品が完成しました。卒制展の会場で、白い角砂糖、茶色い角コーヒー、クリーム色の角ミルクの3種類が同じ大きさで展示されている様子を初めて目にした時は、私も本当に感慨深いものがありました。

ついに完成した卒制、 tabemono + present = product

角コーヒーの特徴は、キューブごとに数を数えられるというところです。これまでのようにスプーンで計量する必要はありません。角コーヒーと角砂糖と角ミルクを一個ずつ同じカップに入れてマイルドなコーヒーを作ってもいいし、角コーヒーを2個だけ溶かして濃い目のブラックを楽しむことも出来ます。細谷さんは、贈り物という発想からコーヒーを角状に仕上げることを公安しましたが、結果的には、コーヒーの計量の単位をスプーン1杯からキューブの個数へと変換するところまで到達しました。

卒制展では地元の企業から声がかかったそうです。東北でコーヒーの輸入と焙煎を一手に手がける会社から「面白い発想。これまで誰も作ったことがない」と太鼓判を押されて、「ぜひ地元の材料で作って欲しい」という地産地消のリクエストまで寄せられたそうです。角型のコーヒーギフトの誕生は、新しい食品流通の可能性をも生み出しました。形態の模倣と材料の変化が、新たな価値を生んだ好例だと言えるでしょう。

細谷さんの作品に関しては、こちらも参考にしてください。
8-2-4.技術よりも美術のフレーバーを多めに表現しよう


細谷さんには、このような流れでの転載を許可していただきました。心より感謝します。

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