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9-3.実践ステップ3 ワークショップ 実施概要

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ひとりで作業していると、次第に飽きたり、客観性を失ったりしがちです。ゼミのメンバーに協力してもらい、ワークショップ形式で作業しましょう。ここでは2種類のプログラムを用意しました。「人海戦術型ワークショップ」と「実験検証型ワークショップ」です。研究に行き詰まった時、このステップで乗り切って下さい。


課題のねらい:

自分が設定したテーマの長所と短所を客観的に理解しましょう。卒制に取り組んで半年が過ぎると、最初の情熱はどこかに失せてしまい、何が楽しくて研究を始めたのか次第に分からなくなります。近視眼的にテーマと向き合っているから、全貌が見えなくなっているのです。そんな時は、周囲の人に協力してもらい、他人の目線で自分のテーマに向き合ってみましょう。新鮮な意見に耳を傾ければ、もと掘り下げる点や、次に取り組むべき点が見えてきます。研究時間を短縮して、合理的に作業をすすめることがワークショップの狙いです。

私のゼミでは、2006年度は前期に、2007年度は後期に実施しました。ゼミのメンバー8人が持ち回りで開催しました。週1回のゼミの時間に二人ずつ実施したので、計4週間で8人全員がワークショップを経験しました。
ほぼ強制参加型の課題として取り入れたので、始めの頃は、戸惑う学生の姿も見受けられましたも。しかし、習うより慣れろで、単に人の発表を聞いているよりも、自分で実際に体験したほうがはるかに楽しくわかりものです。みんなで一緒に取り組むと、口頭発表ではわからなかった複雑さや面白さが見えてきます。全員がもくもくと作業に没頭している姿を見るにつけ、「美大生の本質は作ることにあるのだなあ。ゼミとは思索だけでなく全員で作業する場であっても良いのだなあ」と私は改めて思わずにいられませんでした。

ワークショップの手順

始めに、ワークショップに参加する学生を集めます。5人から8人が適当でしょう。
次に、「ワークショップ開催シート」をひな形にして、実施要綱を作ってみましょう。時間配分、持ち物、目的と予想をシートに書き込んで、自分の考えを整理します。

ステップ3 ワークショップ 開催シート
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プログラム名称「○○についてのワークショップ」

時間配分 説明+プリント配布(10分)
作業 (30分)
各自発表、まとめ(20分)

こちらで用意するもの(×人数分):
みんなに持ってきてもらうもの、道具:
消化する費用:

目的/予想:
結果:
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用途に応じて、ワークショップの実施スタイルは次の2種類に分けられます。
人海戦術型ワークショップ
全員で単純作業に取り組み、作業時間の合理化をはかります。こんな時にワークショップを役立てて下さい。
「実験するのに時間がない。猫の手も借りたい」
「ひとりで延々と作るのには飽きてきた」
「あと8回、同じパーツを作る必要がある」
「まずはこれを作り終えないと、次の段階には進めない」
こんなとき、人手を総動員して、時間の短縮をはかりましょう。言わば、漫画ドラえもんに出てくる「コピーロボット」を使うようなものです。一人では8時間かかる作業も、8人で取り組めば1時間で終わります。
詳しくは、9-3-2. ワークショップ、作品紹介(二股)を参照して下さい。

実験検証型ワークショップ
アイデアを検証したいとき、ワークショップのメンバーに協力してもらいましょう。
「テーマに対する答えを絞りたい」
「この考え方で合っているか確かめたい」
「このアイデアの正当性を確認したい」
こんなとき、他者の手を借りるのです。あらかじめ、テーマに対する「正解」と「不正解」を自分なりに予想しておきます。そしてワークショップを開催したあと、自分が予想しておいた答えと、みんなの出した結果が一致したかどうか「検証」します。自分の予想が当たった場合、実験は「成功」、はずれたら「失敗」です。重要なのは、ワークショップを「検証の場」として使うことです。

植松さん「布地の新しい使い方を考えましょう」 伊澤さん「頭にかぶるとか?」

ただし、アンケート代わりに実施してはいけません。主催者にはっきりとした目的意識がないままワークショップを開催してしまうと、他人のアイデアを盗む会に成りかねません。それに、自分には何の解決策も浮かんでいない時に、他者にアイデアを出してもらっても余計に混乱してしまうだけです。自分なりの目的意識があるときに「実験検証型ワークショップ」は有効に働きます。

実験とは一種のゲームです。あらかじめルールを設定しておき、ゴールに到達したら、予想通りにゲームが運んだかどうかを検証します。後は何度もこの手順を繰り返して、ゴールの精度を高めていきます。この繰り返しを「研究」と呼びます。
研究と言うと、何やら難しいことを指しているように聞こえるかもしれません。しかし、意思あるところに仮説が生まれ、仮説のあるところに実験の必要性が生じます。実験結果を絞り込み、テーマを整理することこそ、ワークショップの役割なのです。効率よく結果を出す手順として、ワークショップという名の実験方法があると言っておきましょう。

注意すること/ワークショップの目的と実施グループの確約:

ここで大事なのは、あらかじめ実施の目的を整理しておくことです。ミッションを明らかにしておかなければ、せっかく大勢のマンパワーを割いても、結果がムダになってしまいます。

ワークショップを開催するのは、言わば先生の代わりに授業を組み立てるようなものです。ふだん受身でゼミに参加している人ほど、いざ現場を仕切ろうとすると、何をしていいのか分からなくなるようです。そんな時は、身近な先生に相談しましょう。今、何に悩んでいるのか。何に行き詰まっているのか。どうすれば現状を打破できるのか。何を確かめたいのか。要するに、「想定した手順で、欲しい結果を得られるか」検証する場がワークショップなのです。人と話しても考えは整理されますが、実際に手を動かすと明らかになる事実があります。ワークショップとは、仮定を現実に検証する場なのです。

そして、あらかじめワークショップを開催する順番を決めておきましょう。メンバー全員が必ず一度は開催するようにスケジュールを組むのです。これは公平性を期すためです。もし、誰かのために協力しておきながら、自分にはまったく協力してもらえなかったら不公平ですよね。お互いに協力するのは、お互いの研究のためでもあります。卒制では一分一秒を争って自分の作業に没頭したい時もあれば、まったくやる気が出ない時もあります。しかし、何をしていても一時間ぐらいはすぐに過ぎてしまうもの。人のワークショップに参加すると研究に対する真剣さや熱意を共有することができます。共に力を貸し合って、卒制の原動力を養いましょう。


例)木下さんのワークショップと配布プリント

制限時間ぎりぎりに取り組む学生たち。最後に、出来上がった作品について、
開催者が予想通りか否か、新しい知見が得られたかどうか、コメントします。


例)小定さんのワークショップ。球に溝を掘り、空気抵抗の違いを調べました。

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