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学生クリエイターズ・フェスタin新宿2011、Shinjuku College Creators Festa 2011



10月15日(土)~10月23日(日)、新宿歌舞伎町の公共の空間を使った学生アートイベント「学生クリエイターズ・フェスタin新宿2011」において、工学院大学の学生が作品を展示しています。
Students of Kogakuin University exhibited their works at Art festival using in Shinjyuku, public space.

新宿区が主催するこのイベントには建築学部、鈴木敏彦研究室が企画の段階から参画しており、 空間デザイン部門には、「建築プロダクトデザイン特論」の受講学生ら3チームが出展しました。課題となるテーマは「繋がりの誘発」です。歌舞伎町セントラルロードを取材し、学生たちにコンセプトと制作の話を伺いました。インタビュー:杉原有紀

Suzuki laboratory have joined this Shinjyuku ward’s event from planning stage. Their students who participated master’s program, “Architecture and product design”, made three teams and attended competition for “Space design section.” Its subject was “Lead to connection.”
We visited Kabukityou Central Road and met the students for interview (in Japanese).

「世界と対峙するあなたに捧げる自閉装置」 建築学部 小笹 輪太郎
“Autism system dedicated to you who stand face to face with the world” Rintaro Kozasa

世界から隔離し、街と同化するインスタレーションの提案。 歌舞伎町は欲望の街。ワイドショーで流れる歌舞伎町はなんだか恐ろしい。何かと繋がりを求められる現代。しかし、人は絶えず頭で世界を感じ、足で世界の中に自分という存在を常に実感している。まずは自分を守る。繋がることはそのあとで良い。そして、そこから世界を覗き見る。「見る」と言う行為あるいは「触る」という行為は強力に人に作用し、無意識に同化していく。
(小笹 輪太郎)


小笹さんの作品は、高さ3メートル、幅1.5メートルの巨大な作品です。中空の内側に足を踏みれると、白い壁に囲まれて自分の視界や声がこもる閉塞感と同時に、上方の四角い窓から空が見えて、外の世界ともつながっているという落ち着いた感覚をも味わうことができます。まず、どのように作ったのか聞いてみましょう。白地に茶色いテクスチャが印象的ですが、何で出来ていますか?

「スタイロフォームをコンター状(等高線状)に積み上げて、角を落とし、下地にシーラーを塗り、しっくいを溶いて、ジェッソを塗りました。下地がスタイロの穴を埋めて水に強い仕上がりになっています。その上に、鉄粉を溶剤に溶いてかけ、塩化アンモニウムで酸化させました」

一人で作りましたか?西口の工学院大学から、東口のこの設営現場までどうやって運んで来たのでしょうか。
「構想2~3ヶ月、一人で1ヵ月半で作りました。友人8人ぐらいで、大学から担いで運んできました」

この中に入ると、案外開放的でもあり、不思議な感じがしました。課題となるテーマは「繋がりの誘発」ですが、作品のコンセプトは?

「最近の建築では『爽やかなイメージでみんなでつながっていこうよ』というものが多いので、そうではなく、まず自分のアイデンティティを確立して、その後に外に出て世界とつながる、というものを考えました」

爽やかにつながる、という路線とは具体的にはどんな路線でしょうか。

「SANAAとか、わかりやすい感じがするものです。」

なるほど。それで、あえて自分に対峙する装置をあらためて制作した訳ですね。

「視覚と触覚をテーマにしています。レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を見て、着想を得ました。あの図では手足を伸ばしていますが、胸のあたりで手を曲げるとこのぐらいの大きさになります。中で手を伸ばすと壁に手が触れます。足は装置から出て地面とつながっているのですが、上半身でまず自分とつながり、体験後に外の世界に出て、改めて自分とつながるイメージです。」

インタビュアーの感想:自分と社会のインターフェースを考えたとき、そこに白い世界観や、しっくいのような質感を持たせるとこんな形になるのです。真摯に建築や自分と対峙しようと挑む姿勢に、小笹さんの若者らしい、まっすぐな力を感じました。設営面積しか定められていないコンペに対して、一人で大きな物を作ってみよう、という意気込みにも、修士の年代の勢いを感じます。そして、路上に突如として現れた装置と、それを違和感無く取り囲む猥雑な街に、歌舞伎町の混沌とした深さを感じました。街の背景と合わせて見てみると、もしかしたら、次世代の個室居酒屋は従来のかまくら形式ではなくて、こういったポエティックな空間で自身と向き合うスタイルになるのかもしれません。


「very real」 建築学部 小切山 孝治 . 大下 祐樹
“very real” Kouji Ogiriyama and Yuuki Oosita

均整のとれた都市要素を歪めることで歌舞伎町にはないが歌舞伎町を表す擬似空間を作った。この空間を体験し歌舞伎町を感じることがこの町のつながりを考えるきっかけになればいい。(小切山 孝治、 大下 祐樹)


搬入が終わり、最後の仕上げを作業中のところへお邪魔しました。作品のコンセプトを教えて下さい。

「Very realというタイトルで、歌舞伎町というリアルな街中の、感覚的なものを再現しました。ベリーリアルの頭文字を取ってVR、つまり僕らなりの仮想現実という意味でもあります」

床一面に、この新宿一帯の地図が印刷してありますが。

「Google Earthの地図をつなげて、7メートルぐらいのものを作ってから、この2メートル40センチ、1メートル50センチに印刷しました。地図にはQRコードを8箇所埋め込んであって、工学院大学からは大学のサイトへ飛んだり、僕らの作品を置いた場所や、このフェスタの中心地からはそれぞれリンクを張ったページに飛ぶように仕掛けてあります」

この黒い柱は何を意味しているんでしょうか。

「歌舞伎町はこんなにゴチャゴチャしているのに、実際には電柱が無いんです。でも、イメージでは電柱がありそうな感じがしたので、繋がりを現すためにスチールのパイプを立てて表現しました。2500が2本、2000が2本、1500が1本です。この柱は実はコルビュジエのモジュロールに沿っていて、下から330、698、860、1350ミリの高さに黒いゴムひもを張ってあります」

なるほど、歌舞伎町には電柱が無いのに、ここにあっても何の違和感も無いですね。

「写真を撮っても背景に混じって映らないぐらい溶け込んでしまっています」

感想:他のチームの学生たちが、大きなものや様々な素材に凝って制作しているのに対して、サイズやネットの情報というシンプルなコンセプトで表現しているのが興味深かったです。建築家(の学生)にとって、街の姿とは、常に俯瞰で見た地図や情報のアイコンとして念頭にあるものだという感覚に驚きました。鳥の目線で課題に取り組むことができるのは、彼らがいつも模型を制作しているからなのかもしれません。彼らにとって、新宿の姿とはGoogle mapの印刷物で代用でき、ビル群の高さはスチールパイプで代替可能なものなのです。都市計画という大きな視点で街をとらえて空気感を表現する一方で、筆で柱のビスをひとつひとつ丁寧に黒く塗りつぶしていくあたりに繊細でリアルな心意気を見た気がしました。


[How is your PERSONAL SPACE?」建築学部 大塚 祐司 若杉 紗愛
“How is your PERSONAL SPACE?” Yuji Otsuka and Sae Wakasugi


人と接する時に相手との心の距離を感じたことは誰にでもあるだろう。これは人には目に見えない領域が存在するためである。この目に見えない領域のことを”パーソナルスペース”という。これには様々な距離が定義されており、「相手との関係によって距離感が変化する」というパーソナルスペースによって、人との心の距離が測れる空間を考えた。レイヤーで構成された様々な距離感を体験することで、深層心理を暴きだす空間。
(大塚 祐司 若杉 紗愛)


協賛:
(株)内田化工
新栄プレス工業所

搬入の合間、まず始めに大塚さんに話を伺いました。作品のコンセプトを教えて下さい。
「これは、人と人との距離感を測るため、いくつもの柱をたてて、その間に入ってもらう作品です。鏡面を使っているので、自分自身との距離感も測ることが出来ます」

これを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。

「パーソナルスペースってありますよね。例えば満員電車は気持ちが悪いのに、ライブハウスやスタジアムでは人と人との距離が気にならない。以前、学部の卒制でパーソナルスペースに取り組みました。吉祥寺駅を舞台に、空間を幾つかに分けて、人の興味があるものを並べたら距離感が
変わってくるのではないか。その時は、1.5~3メートル、3~7メートル、7~20メートルといった空間の中で壁を設けたのですが、実際に作っていなかったので、考えが成立するかわかりませんでした。今回、1/1の大きさを作ることが出来て良かったです」
材料はどうしましたか?

「企業からサブロク板のアルミやステンレスの板を大量に提供して頂きました。材料を使うにあたって、工場まで行って話を聞き、連絡をもっと密にすれば良かったとも思っています」

構想段階だった学部の卒制を、たくさんの材料で実作品として実現できたのは大きな一歩ですね。では、若杉さんにも話を伺ってみましょう。どんな風に取り組みましたか。

「ステンレスの板の配置をどうすればカッコイイかと考えました。高さ、長さ、間隔を、CG、模型、スタディで考えて検証しました。カップルで体験しても面白いかもしれません。対面してこの距離だと気持ちが悪いとか、この距離なら大丈夫とか、印象が変わると思います」
ものすごく艶やかでくっきり映る鏡面加工の材料ですが、どんな意図で用いましたか?

「歌舞伎町だし、ギラギラしてみようか、と」

感想:その日の夜、設営が完成した写真が送られてきました。何枚ものステンレス板が屹立するように建てられた写真と、その間に二人が立っている写真です。中には胸までの高さの板もあれば、頭を超える高さの板もあります。そのわずかなすき間に人が立っている様子は、まるで新宿の摩天楼のように私には見えました。新宿という、あるいは歌舞伎町という、人々が密集しながらも個々の生活を営む場所では、こんな風に空間を整理して区切りを設ける工夫が必要なります。街や自分の姿を映し出すミラー加工の金属板は、その境界さえも街に同化させます。不快な空間から快適な空間へ変えようという彼らの試みが、未来の街を支えていくに違いありません。

搬入中の他大学の様子をピックアップしてお伝えします。


(左)東京理科大学 工学部の「ダメバシラ」。都市の中でしてはいけいないことを禁じています。
(右)日本工業大学 小川研究室の「Bar Aluminum Night」。歌舞伎町の飲食費の平均金額、約12,500円を、新宿でリサイクルするアルミ缶の引き取り価格で表現するとこれだけの量になります。


東京大学 デジタルファブリケーションラボ + 小渕研究室の「ミニマル・サーフェス・パビリオン」。
複雑な幾何学構造を膜で表現しています。特殊なシートに熱を加えると、収縮してピンと張る仕組みです。

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